双極性障害に特化した就労移行支援「双極はたらくチャレンジ東京」立ち上げから半年を支援員が振り返る

公開日: 2025.9.24

双極症(双極性障害)に特化した就労移行支援「双極はたらくチャレンジ東京(略称:はたチャレ)」が立ち上がって半年。

今回は、立ち上げ当初から関わっている支援員の成瀨さんをお呼びして、双極はたらくラボ編集の松浦とこれまでの実績や状況を振り返ります。

プロフィール 成瀨京子(なるせ・きょうこ)

双極はたらくチャレンジ東京支援員/産業カウンセラー

プロフィール 松浦秀俊(まつうら・ひでとし)

双極はたらくラボ編集長/双極はたらくチャレンジサービス開発者/精神保健福祉士/公認心理師

立ち上げから半年──はたチャレの利用者数や雰囲気

松浦
松浦

今日はスタッフの成瀨さんをお呼びしました。簡単に自己紹介いただいていいですか?

成瀨さん
成瀨さん

はい。双極はたらくチャレンジ東京で支援員をしています、成瀨です。双極症Ⅱ型の当事者で、入社して1年ほどですかね。毎日楽しく働いています。

松浦
松浦

成瀨さんは、はたチャレの立ち上げ前から支援員として入社して準備から一緒にやってきました。

2025年1月にオープンして半年経ったので、実際の数字をお伝えできる範囲で話せたらと思います。

はたチャレではオートウェビナーという疑似ライブ配信を使った説明会をやっていて、これは170人以上の方に参加いただいています。説明会に参加した後に体験を経て、「利用したい」となった場合に正式利用となる流れです。

疑似ライブ配信の実際の映像
松浦
松浦

2025年7月3日時点で、正式利用者は22名。全員が双極症の診断を受けていらっしゃる方になります。

松浦
松浦

男女比は男性が10名、女性が12名ということで若干女性の方が多いですね。

松浦
松浦

成瀨さんの印象はいかがですか?

成瀨さん
成瀨さん

そうですね……はたチャレが立ち上がって数か月は休憩時間もシーンとしている印象がありました。

でも最近は利用者さん同士の雑談とか、情報交換している様子があったり、いい雰囲気で話されているなと思っています。

これは性別がどうこうというより、双極症の人しかいない環境だからこその雰囲気があるんだろうなと思います。

松浦
松浦

たしかに初期に比べて、雰囲気の変化がありましたよね。

就労状況でいうと、離職の方8割・休職の方2割で、離職中でご利用いただいている方が多いですね。

松浦
松浦

年代でいえば30代の方が一番多く11名、次いで40代で20代と50代の方が、ほぼ同数。

松浦
松浦

年代的なものって感じます?

成瀨さん
成瀨さん

どうでしょうねぇ。

学校のようにざわざわしている感じではなく、職場のお昼休みくらいの雰囲気なので、落ち着いた感じはあると思います。30〜40代が多いことが影響しているのかは分かりませんが。

松浦
松浦

社会復帰された方でいうと3名いらっしゃって、1人が復職・1人が再就職、1人はフリーランスという形です。(※2025/7/3時点)

はたチャレ準備期の印象深い出来事は?

松浦
松浦

改めてここに至るまでの歴史を振り返ってみると、成瀨さんの中で印象に残っていることはあります?

成瀨さん
成瀨さん

去年の10月ぐらいから準備を始めて、はたチャレの近くにある区民館でプログラム体験会を行っていたんですよね。それが、なんといっても印象的です。

区民館で体験会の準備をしている様子
成瀨さん
成瀨さん

今でこそ、きれいな内装で、できたて感がありますが、区民館は古くて寒いし…。

でも、そんな中でも体験に来てくださった方がたくさんいらっしゃって、正式に利用につながった方もいるというのは、あの時期でしか体験できなかったことなので、印象深く残っています。

松浦
松浦

今も徒歩圏内で近いので、近くを通ると「懐かしいな」と思い出の存在になりつつありますよね。

はたチャレが立ち上がったのが2025年の1月ですが、立ち上げてすぐの1~3月はどういう心境でした?

成瀨さん
成瀨さん

私としては、とてもドキドキしていました。

立ち上がったばかりでもありましたし、面談やプログラム、すべてが新鮮で、毎日ドキドキしながら働きにきていましたね。

松浦
松浦

成瀨さんは初めて支援職の現場に入ったんですよね。ただ資格はお持ちですよね?

成瀨さん
成瀨さん

そうですね。産業カウンセラーの資格を入社前後に取得しました。異業種からの転職でしたが、傾聴スキルは学んできていました。

松浦
松浦

現場で実際に支援するとなると、学んできたこととは違いますよね?

成瀨さん
成瀨さん

そうですね、全然違います。半年経って、やっと腰を据えて働けるようになった感じがしています。

利用の決め手は“特化”? 利用者の声から見る「はたチャレ」の強みと課題

松浦
松浦

利用当初からアンケートで伺ってきた「利用の決め手」や「要望」についても、公開のご承諾いただいた方の中から、簡単にご紹介します。

最初の頃は「人数が少なかった」という声もありましたね。はたチャレは集団プログラムが強みなので、人が揃わないと良さが伝わりにくいところがあります。でも今では人数も増えて、いくつかのグループでの実施が当たり前になってきました。利用者さんの雰囲気そのものが決め手になっているようで、「利用者さんの雰囲気で決めた」という声も徐々に増えてきています。

成瀨さんは、決め手についてどう思いますか?

成瀨さん
成瀨さん

「双極症に特化しているところは他にない」という点で体験に来てくださる方はすごく多いですね。それを決め手に正式利用をしたいと言ってくださる方も多い。

松浦
松浦

そこは、はたチャレの強みですよね。

いいことばかり言っていても偏るので、逆に改善点や要望として聞いたことはあります?

私がパッと思いつくのは環境面ですね。今は空気清浄機を導入していますが、空調に関するご要望をいただいたことがあります。要望をすべて反映できるわけではありませんが、スタッフ間で協議して「これは必要だよね」となったものは取り入れるようにしています。

成瀨さん
成瀨さん

私が心配しているのは、テーブルや椅子の配置ですね。これから人が増えていく中でもセンターの広さ自体は変わらない。きれいなんですが、決して広いわけではないので、その日の人数に合わせてどう配置していくかの工夫が求められていくんだろうなと思います。

はたチャレのオープンスペース。基本的には、このスペースでプログラムを実施しています。
松浦
松浦

はたチャレは、リヴァの中でも面談室が多いんですよね。3室あって。面談室を増やした分、全体的には少し狭くなったのですが、そのぶん個別対応はしやすくなり、できることも広がりました。うまく調整しながら環境を整えられるといいですよね。

3つある面談室の中の1つ。はたチャレのカラーである「青」を基調とした部屋
松浦
松浦

プログラム面では「ビジネススキルを高める自習プログラムが欲しい」という声をいただいたことがありました。

ただ、ビジネススキルに特化した支援は、はたチャレの強みではないので、計画の立て方や進め方についてはサポートできると思いますが、基本的にはご自身で取り組んでいただくことになります。

事前にみなさんのニーズと、はたチャレが提供できることを明確にしてすり合わせておかないと、合わないまま終わってしまってもったいないことになるなと思いましたね。

双極症特化だからこそ盛り上がるテーマトーク

松浦
松浦

6か月やってみて「このプログラムの反響が大きい」と感じたものはありますか?

成瀨さん
成瀨さん

テーマトークですかね。5〜7人でグループを作って、一人ひとつテーマを出して話し合うんですが、双極症の方だけの場なので、出てくる悩みが近いんですよね。もちろん人によって症状や状況は違いますが、「躁がある」「うつがある」という前提が共通しているので、話がすごく盛り上がるんです。

松浦
松浦

はたチャレで関係機関などにお渡ししている「はたチャレ通信」で、ワークの雰囲気を漫画で紹介しているので、イメージしやすいかもしれません。

松浦
松浦

新しく来た方の中には、「双極症の人と話すのは初めて」っていう方も結構いて、驚かれることもありますね。あと、「躁状態の話ってなかなか外では分かってもらえないから、ここで話せてよかった」っていう声もあったり。

双極症の方が集まっているからこそできる場で、他ではなかなか実現できない環境だなと思います。

成瀨さん
成瀨さん

ないですね。

松浦
松浦

ということで、成瀨さんと一緒に半年を振り返ってきました。

もしこの記事を読んで「はたチャレについてもっと知りたい」と思った方は、LINEから気軽にオンライン説明会にご参加いただけます。ぜひお気軽にご参加ください。

振り返り全容は動画でもご覧いただけます!

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