双極はたらくラボの編集部3名(全員が双極性障害の当事者)による「編集ゆるトーク」。前回「有名人による双極性障害の公表」の続きをお届けします。
さんご
何回か転職して今の会社は14年目。2014年に初めて休職し、2018年に双極性障害と診断。(働く工夫レポート協力者)
事務の人
転職や起業などを経て現在は株式会社リヴァで勤務。2007年に初めて休職し、2012年に双極性障害と診断。
松浦
21歳の時に双極性障害を発症。20代で転職3回休職4回を経て、リヴァの社会復帰サービスを利用。のち、2012年に同社入社。
次に「当事者である私たちが双極性障害を開示すること」はどう思いますか?
ほぼ開示していません。
以前、産学連携のベンチャーを起業したことがあるのですが、投資や融資を受ける際にメンタル疾患を開示するのはかなり不利だったからです。
今後、再び起業したくなったときや、ローンを組みたいときのことを考えると、開示はしり込みしちゃいますね。
開示範囲の線引きは、家族や友人などの顔がわかる人に限っていました。
ただ、現職で福祉業界に2年ぐらい関わって、結果を残していることに自信が付いてきたんです。
今は「ここまで頑張ったから、開示しても大丈夫かな」と思えるようになりました。
さんごさんは?
誰にも言っていません。
以前の職場で具合が悪くなったとき、双極性障害と診断されて上司に相談しました。すると「開示する必要はない」と言われたんです。
競争が激しい会社だし「不利な情報を自分から出す必要はない」とのことでした。
その後に異動したので、今の部署で双極性障害について知っている人はいません。ただ、信頼関係ができた頃に「もし具合が悪くなったときは言えるようにしよう」とは思っています。
信頼関係は、何をもって判断します?
「ある程度、この人には仕事を任せられる」と相手が思ってくれるぐらいです。
病気の有無に関わらず、新しい職場に入った直後はきっと周りも様子見ですが、いくつか実績を挙げれば「これも頼もうかな」と言ってくれますよね。
今まで言ってくれなかったことも相談してもらえたタイミングなら、開示しても大丈夫かなと思います。
今の上司は信頼関係を築けていると感じるので、調子を崩したら相談できそうです。
調子を崩したときに相談できそうな人は、保険的な存在ということですね?
保険は常に大事だと思います。そのためにも「信頼関係を結んでおこう」という心構えを持っていますね。
私は初めて双極性障害を開示した相手は、大学時代の友人でした。
開示理由は、人生のつじつまを合わせたかったからです。
私は地元にある理系の国立大学を卒業したのですが、友人の大半は大学院まで行き、地元の大手企業に入って所帯を持っていました。
でも私は院に行かず、専攻とも関係のない地元の中小企業に入社し、2年もたたずに退職したのです。
その後は関東圏に出て自営業をしていましたが、1年もたたずして急に地元へ帰りました。
傍からは「フラフラしている」と思われていたでしょう。
だから双極性障害という診断をされたことで安心しました。症状も相まっていたことがわかったんです。
私とは違って堅実に生きている友人に開示するのは、勇気が必要でした。
でも彼は「それで活動的だったんだね」と受け入れてくれたので、楽になりましたね。
「つじつまを合わせたい」という点は納得です。
昔はプライドが高く「自分は双極性障害だから仕方ない」ということを言い訳にしたくなくて、開示できなかった部分もあります。仕事ができないことの言い訳を病気にしたくなくて。
今なら、頑張って働いてきたことにより「双極性障害でも文句ないでしょ」と言えると思います。
ただ、人に対してオープンにするときは、病気をうまく説明できませんでした。
最初のハードルはかなり高いし、説明するのは難しいです。私の経験からすると、説明の質は開示した回数によって上がってくると思います。
双極性障害の知名度が上がったときに、よくない風に扱われる機会もどうしても増えてくると思います。「でもあの人って、双極性障害でしょ」みたいに、悪い方向にもいくと思うんですよね。
今まで双極性障害はマイナーで噂に上ってきませんでした。メジャーになったときに備えて、正しい情報を発信するのは大事だと思います。
双極性障害の知名度が上がってから、ネガティブなレッテルを貼って語られないように気を付ける必要がありますね。
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株式会社リヴァ リヴァトレ事業部 精神保健福祉士・公認心理師・産業カウンセラー試験合格
大学で臨床心理学を専攻後、一般企業に就職。その後、精神保健福祉士の資格を取得して都内のクリニックに勤務。また、公的機関での勤務経験も持つ。株式会社リヴァ入社後は、復職支援と再就職支援の両方の施設での勤務を経験している。