【双極性障害あるある漫画】新型コロナによる在宅勤務と双極性障害 – 松浦さんの双極ライフ #10

公開日: 2021.3.10
最終更新日: 2022.11.4

※2020年6月22日に運営元メディアで公開された記事を再編集しています。

双極性障害あるあるマンガ動画(ショート)

解説コラム

新型コロナウイルスは多方面で私たちの暮らしに影響を及ぼしています。私も在宅勤務への移行など、公私ともに変化がありました。そんな中、SNSで気になる投稿を見つけました。それは「双極性障害の人は、災害などの有事が原因で躁状態になることがある」というものです。

自分なりにその理由を考えてみると、「目標指向性の活動(※)」という躁の基本症状の1つが関連しているように思います。大きな自然災害や事件などが起きると「この状況を改善する」という目的に向けた行動をとろうとし、それをきっかけに気分が上がってしまうことがある…ということでしょう。

※「目標指向性の活動」とは、世界的診断基準”DSM-5”で定められている言葉で、社会的な目的達成などのために活発に行動すること

また『災害と心のケア』(David L Romo/アスク・ヒューマン・ケア)という本にも似たような記述があります。同書によれば、被災者が日常生活を取り戻し、コミュニティが通常の機能を回復するまでの間に「自分や家族・近隣の人々の命の財産を守るために、危険をかえりみず、勇気ある行動をとる」という心理が働くそうです。そんな使命感も躁状態に傾く要因になるかもしれません。

とはいえ、双極性障害を抱える全ての人が躁状態になるわけではないようです。私自身も今回のように大きな問題が発生した時、気分が落ち込みやすい傾向があります。東日本大震災が発生した際にはテレビやSNSの情報を取り込み過ぎてうつになり、勤めていた会社を退職しました。

有事の際に限らず「双極の気分のコントロールは“低め安定”がよい」と助言する医師は多く、私も主治医から同じことを言われてきました。確かに軽躁のときは周りの人と積極的に関わりがちで、人間関係や金銭面などに支障をきたした経験もあります。普段から低め安定を心掛けて生活していると「気分の上げ下げが分かりやすく、体調をコントロールしやすい」と感じています。

もちろん、今回のコロナ禍でも低め安定を意識しましたが、一方で気分が大きく落ちていきそうな不安も感じていました。薬と休養だけで体調のコントロールをしていたら、かつての二の舞になってしまう…そう考えた私は「情報の取り入れ方を工夫する」「生活サイクルを維持する」の2点を意識して過ごしました。

具体的に取り組んだことは以下の通りです。

1.情報の取り入れ方を工夫する

2.在宅勤務でも生活サイクルを維持する

上記のように自分で設定したルールを守ってきたこともあり、生活が大きく変化して2か月が経過した6月現在、軽躁やうつの症状に大きく苛まれずに過ごせています。初めての在宅勤務は不安もありましたが、人や環境から受ける刺激が軽減され、気分の上下が減ることに気付けました。いわゆる「新しい生活様式」にも身体が慣れてきたように思います。

またオフィスで働く生活に戻ったら、通勤の負荷でうつっぽくなったり、人に会って軽躁になったりするかもしれません。しかし、その時々の環境や自分の状態を観察しつつ、主体的に対処することで、私なりの「双極ライフ」を続けていきたいです。

原案:松浦秀俊
作画:のんた丸孝
監修:佐々木規夫(産業医/精神科医)

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