軽躁時の対処とチャレンジ – 松浦さんの双極ライフ #13

解説コラム

「双極はたらくラボ」という新しいサービスを立ち上げることは、私にとって大きなチャレンジでした。未経験の業務や取り組みにチャレンジをすること自体が私には刺激が強く、軽躁の症状を誘発させる可能性があります。

大学生の頃から、何かにチャレンジをしては気分が高揚し、後に体調を崩すというサイクルを繰り返してきました。
4年生の時には地元のNPO団体が主催するイベントの準備を連日深夜まで手伝ったところ、その反動で気分が落ち込み、会社の内定式をドタキャン。
新卒入社したその会社を2年で退職し、Web系の自営業を始めるも、半年後には体調不良でひきこもり状態に。その後、未経験の業種に転職し、今度は仕事についていけず退職するなど…。

私は21歳で診断されて以来、自分がうつ病だと思い込んでいましたが、精神疾患に詳しい方のアドバイスで、改めて過去の体験について医師に詳しく話した結果、双極性障害Ⅱ型に診断が変更されました。

この時はじめて「今まで調子が良いと考えていた気分が高揚する状態が実は双極性障害の症状」と知るのでした。

しばらくして、社会復帰に向けて病気の対処を勉強をする機会があり、その中で「双極性障害は軽躁を抑えることがカギ」だと教わります。

実際、軽躁症状が表れた時に活動をセーブしたところ、その後にうつの症状が表れても、復調に要する時間が以前よりも短くなり、「対処の道筋が見えてきたな」と感じました。現在の会社に入ってからも、同じように気を付けながら仕事に取り組むことで、大きな気分の波もなく働き続けることができています。

安定した日々が1年ほど経過した頃のこと。今度は、「軽躁時に活動を抑え続けるということは、もう新しいチャレンジができないのだろうか?」という疑問が浮かんできました。

もともと挑戦することは大好きなタイプ。それなのに「もう新しいチャレンジはあきらめざるを得ないのか」と悩んだ末に、過去と現在の自分を比較してみた時、あることに気づきます。それは「近頃は体調を日々観察することで症状の予兆を掴み、対処ができるようになっている」ということでした。

「何かにチャレンジして気分が高揚しても、軽躁の予兆を掴めば、ある程度のところで抑えられるかもしれない。大きなチャレンジではなく、少し頑張れば手が届くと思えるような『背伸びする程度のちょっとした挑戦』であれば大丈夫なのではないか?

私は、その仮説を検証するために行動しました。

最初は、カウンセラー資格の取得。このチャレンジを「ちょっとした挑戦」とするために、合格までのステップをいくつかに分けました。受験するには専門学校を卒業する必要があったため、「週1回、予定通り通学をすること」を最初のステップに設定。高すぎず、できると思える目標を設けて、一歩一歩取り組んでいきました。

また3年前のある日、会社の代表から「松浦さん自身のことをもっと発信してみては。失敗だと考えている経験も全て価値になるよ」とアドバイスをもらったのをきっかけに、双極性障害と付き合いながら働く当事者としての発信を、Twitterで開始しました。

Twitterでは予想を超える大きな反響をいただいたため、自分史をまとめてnoteで公開することに。更には、当事者の方々が集まって話すイベントを開催したり、講演会を実施するなど、「ちょっとした挑戦」を積み重ねていきました。

昨年にはそれらの取り組みを発展させて、働きたいと望む双極性障害の人が自分らしく働ける社会の実現を目指すべく、「双極性障害」と「働く」に関するWebメディアの立ち上げを社内で提案し、完成に向けた準備を進めました。もちろん、体調を崩さないよう、同僚や社外の人の助けを借りたり、1年半という時間をかけるなど、無理はしないよう気を付けながら。

そうした試行錯誤の結果、いよいよ公開できたWebメディア「双極はたらくラボ」。このメディアを松浦が運営していく過程そのものが、コンセプトである「双極性障害で働くためのヒント」の一つになれば嬉しいです。

これから末永く、よろしくお願いします。

原案:松浦秀俊
作画:のんた丸孝
監修:佐々木規夫(産業医/精神科医)

双極性障害で働くヒントを

関連記事一覧