【双極性障害あるある漫画】双極性障害の状態を理解する4つの記録 – 松浦さんの双極ライフ #12

【双極性障害あるある漫画】双極性障害の状態を理解する4つの記録 – 松浦さんの双極ライフ #12

公開日:2021.3.14
最終更新日: 2023.2.14

※2020年11月30日に運営元メディアで公開された記事を再編集しています。

双極性障害あるあるマンガ動画

解説コラム

私が本格的に双極性障害への対処に取り組み始めたのは、リヴァトレで社会復帰に向けたトレーニングを開始した頃からでした。主治医のアドバイスやトレーニングを通じて学んだことはたくさんありますが、その中でも大切だと思うのは「症状が出てから対処するよりも再発予防を重視すべき」ということです。

再発を予防するにはまず、自分自身に関する様々な記録をつけることが欠かせません。その記録から「症状の予兆」を読み取ることが可能になり、より早期に対処することで、気分の上下の波を穏やかにできるというわけです。

今回の漫画では、記録によりコンディションを視覚化する4つのツールをご紹介しましたが、私自身は元々マメな性格ではないため、当初は記録をつけること自体に苦労しました。しかし、そんな私が今でも日々記録し、振り返りなどに活用しているのがこれらのツールなのです。

『ライフチャート』と『症状サマリーワークシート』は、症状が出てから記録をつける日までの気分の浮き沈みをグラフにしたり、平常・躁・うつの状態を書きまとめておくものです。過去の出来事を整理しておくことで、症状のパターンを掴めるようになります。可能であれば、身近にいる家族や支援者、会社の方などにもヒアリングして、得られた情報も書き加えられるとより良いといわれています。私の場合はさらに、うまくいった対処や今後できそうな対応なども書き込んでいたりします。

一方、『活動・睡眠記録』と『気分グラフ』は、活動量や睡眠時間の記録、日々の気分などを数値化して記録をすることにより生活リズムや気分の波を可視化することができるので、うつ状態や躁状態の兆しと考えられる軽い症状が表れたときには、早めに気づくことを助けてくれます。…ただ、この2つのツールは日々記録するものなので、マメでない私には少々ハードルが高く、重要だものと分かっていながら、取り組めないまま数年が経ちました。

そんなある時、会社の同僚が「スマートウォッチ」なるもので睡眠時間や歩数などを自動記録していることを耳にしました。「これは双極性障害の対処、活動・睡眠記録として使えるかも」と思った私は即購入し、以来、今日に至るまで自己管理ツールの一つとして重宝しています。詳しくは以下の記事(「左腕に光るモノ~セルフモニタリング~」)をご参照ください。

今回の漫画で特にご紹介したかったのは、4つ目の『気分グラフ』です。基本的には「寝起きの気分を数値化するもの」なのですが、“気分を数値化”と言われても、どのようにすればいいのかイメージしにくいですよね。

私の場合、

①頭の中の状態
②仕事をしたいか/したくないか
③したい/したくないの度合い


という3つの要素から自分の気分を整理し、総合的に数値化をしています。

もう少し具体的に説明すると、まずは「①頭の中の状態」を分析し、スッキリしている感覚があると”プラス寄り”、どんよりしていると”マイナス寄り”。そこから更に②③を分解して、「早く仕事がしたいな」と気持ちが前のめりだと「+2」、「仕事嫌だな」という考えがよぎって実際に起床時間が20分以上遅くなったら「ー2」というように、自分なりに数値化する基準を設けています。

現在は「+3を上回る」あるいは「ー3を下回る」状態になったら危険だと判断しており、その状態が数日続く場合には受診を早めるなどしています。

ちなみに私は、この『気分グラフ』もスマートウォッチと連動したスマートフォンのアプリ(体重記録機能をアレンジして活用)で記録をつけているので、面倒に感じることはありません。

実際の気分グラフの画面。スマートウォッチの体重記録をアレンジし、100kgを気分±0として日々の数値を記録している。

今回ご紹介した4つのツール『ライフチャート』『症状サマリーワークシート』『活動・睡眠記録』『気分グラフ』について、作成や日々の記録が手間だと感じる方もいるでしょうし、私自身もその一人です。私の場合、活動・睡眠記録に関してはスマートウォッチが自動的にとってくれますが、それ以外については、社会復帰トレーニングでのグループワークという強制力が働く環境がなければ、形にするのは難しかったと思います。

現在リヴァトレでは、そのグループワークの内容をより充実させつつ、作成に伴う負荷を軽減したプログラムの開発に取り組んでいます。2021年の夏頃には提供できる見通しなので、また実施報告させていただきます。

※参考文献
『最新版 「うつ」を治す』大野裕著
『バイポーラー(双極性障害)ワークブック 第2版』モニカ・ラミレツ・バスコ 著

原案:松浦秀俊
作画:のんた丸孝
監修:佐々木規夫(産業医/精神科医)

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