双極性障害で働くための「認知行動療法4つのツール」を専門家が紹介

認知行動療法を専門とするカウンセリングルームの代表であり、YouTubeチャンネル「認知行動療法ちゃんねる」の運営もされている西川先生。今回、先生には双極性障害で働くための認知行動療法のツール4つをご紹介いただきました。

「認知行動療法という言葉は聞いたことあるけど、具体的にイメージがつかない」という方に、どんなものかが少しでも伝われば嬉しいです。

〈聞き手=松浦秀俊(まつうら・ひでとし)〉

プロフィール 西川 公平

カウンセリングルームCBTセンター代表。精神科、心療内科での勤務を経て、2005年にCBTセンターを開業。医療、産業、教育司法と分野をまたいで連携をしている。医学博士、公認心理師、専門行動療法士。

動画「双極性障害で働くための認知行動療法4つのツール【実践編】」

認知行動療法ツール①「生活リズム表」

松浦
松浦

双極性障害の方が取り組める認知行動療法のツールがあればご紹介いただけますか?

まず多くの方に取り組んでいただくツールとしては「生活リズム表」があります。起きてる時間は青、横になっている時間は黄色、寝ている時間は赤で塗っていきます。

横たわりがちな方に効果があり、塗るだけで「さすがにこんなに横になったらいけないな」と思って腰掛けるようになります。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

なるほど。

そんな風に活動量のギャップが大きいのはよくないので。座っていたら心臓が血を頭の上まで上げますが、横になっていたら全身の高低差はあまりない。そこでいきなり立ち上がってガーッと活動したら疲れるに決まっています。

認知行動療法では睡眠時間や活動量など、色々なものを平坦化していきます。

きちんと起きている時間を平坦化していくためには、この表を使っていくのがよいと思います。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

これも認知行動療法なんですか?

はい。セルフ・モニタリング(自分を観察して記録する)と呼ばれているものです。

西川先生
西川先生


認知行動療法ツール②「活動記録表」

生活リズム表が出来てくるようになると、もうちょっと複雑な「活動記録表」を書いてもらいます。
何時に何をしていたとか、その時の気分と程度(例:イライラ80)をつけていきます。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

記録をするのが苦手な人はどうすればいいですか?私も苦手なのですが。

どこで何のタイミングでつけるかの「記録づけポイント」を作ったり、アラームをかけて「何時になったら記録する」という方法があります。

後はオンラインでつける場合もあります。アプリやスマートウォッチもありますし、若い人はそちらの方がつけやすいかもしれないですね。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

どういう基準で生活リズム表からこちらに移るんですか?

生活リズムの乱れ方にもよりますが、どこが昼でどこが夜か分からないのはよくない。生活リズムが昼側・夜側ではっきり分かれていることが大事です。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

細かい記録が必要な印象の表ですが、どのくらいの精度で書けばいいのでしょう?

人によってどれくらい書くかは様々です。

双極性障害の方だと特に「気分一致行動」「気分不一致行動」があって、気分が落ちているときにその気分に合わせた行動を取りがちになります。

気分が落ちているから寝っぱなしになって、それでますます自分の気分を落としたり、逆に上がっているときは(更に)上げる行動を取りがちになります。

なので、行動と気分の関係性を把握していくためにこの表を使います。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

私も気分が落ち込んで会社を休んでいると「働かざる者食うべからず」みたいな気持ちになって、食べないように自分を仕向けることがあります。

「働かざる者食うべからず」の部分は思考だと思うのですが、認知と行動と気分の3つは連動します。後は身体ですね、そこから低血糖や空腹のあまり動けなくなると。

この4つの内、少なくとも「行動・気分」を見ていくのがこの記録表なんです。生活リズム表は生体リズムしか取っていないので、気分や行動がどうとか少しずつ記録するものが複雑になっていきます。

西川先生
西川先生

認知行動療法ツール③「日常活動スケジュール」

松浦
松浦

更に複雑になったものがあるんですか?

それがこの「日常活動スケジュール」です。

起床時に「この時間はこれをしよう」と予定を立て、その日の終わりに「この時間はこれをした」と書いて、実際自分のやった活動にどれくらい満足したかなど一日の行動を評価します。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

これをするとどうなるんですか?

うつの側面から言うと、「1日のうち1番気分が悪いのは朝」と話すうつの方が多いのですが、その理由の1つが「何をしていいのか思いつかないこと」です。

例えば休職して1か月休むことになり、朝起きたら自分が何をしたらいいのか分からない。その時に「自分はろくでもない人間だ」という考えがわいてきます。

そこで「とりあえず起きて着替えよう、ご飯を食べよう」などの自分のためのタスクを生み出す練習が必要です。

これは働くことに直結していて、仕事に行ったときにうつっぽいと「出社したはいいけど、今日何したらいいのか分からない」となるので、表を書くことでそこの段取りをつける練習になります。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

リヴァ(双極はたらくラボ運営元)のリワークや就労移行支援施設の利用者さんによく「利用して1番よかったのが、外に出る理由ができたこと」と言われます。

「休んでいると予定がなくて二度寝してしまったり、生活リズムが整わないんだけど、行く場所があると自然とリズムが整う」という話をされる方が多いです。

何の理由もなかったら起きないですもんね。

その理由を思いつかない人は、1日の時間割をセラピストと患者さんが共同で作ってみて「少なくとも2週間はこんな感じで1日過ごしてみましょう」みたいな活動スケジュールを立てることもあります。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

1人でここまでやるのは大変ですもんね。

この表は復帰手前で人が書くものなので、それより前に「洗濯する」「3000歩歩く」等の目標行動を毎日やることもあります。

西川先生
西川先生

認知行動療法ツール④「テンションのマッチゲーム」

松浦
松浦

躁症状やうつ症状の兆候を探すためのツールなどありますか?

症状のきっかけを捕まえていくために有効なのが「テンションのマッチゲーム」です。

これは当事者と家族それぞれがトランプの1〜9を用意して、「私(あなた)のテンションはこれ」と言って同時に出す。その数字が合っていたらOK、違っていた場合はなぜそう思ったのかを互いに話し合う。

これを毎日、朝晩やっていきます。
(参考:「テンションのマッチゲーム」の動画

西川先生
西川先生
松浦
松浦

それはマッチさせればいいんですか?数値が高い低いではなく?

そうです。例えば自分が「5」で奥さんが「7」だったら、なんでそう思ったのかお互いの意見を伝え合います。

再評価はせずに、結果は次回やるときに活かします。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

数字が合っていたら客観的な視点が持てるということですか?

当初は本人に客観的な視点を持ってもらうことを目指してましたが、やってみると「パートナーのテンションは結構変動していると分かった」「もっと細かく気づいてあげられるようになった」など、家族からの評判がよかったんです。

西川先生
西川先生
松浦
松浦

私も自分の内面は動いているんだけど、妻には伝えずに後日「この前、実は上がってたんだよね」と伝えると「全然気づかなかった」と言われることがあって。

自分から開示して共有していくことが大切ですね。

額に「うつ」とか「躁」とか書いてあったら分かるけど、心の病気は内面の症状なので気づきにくいですから。

西川先生
西川先生

今回紹介した表(シート)の入手方法について

今回紹介した表(シート)は、CBTセンターのサイトからダウンロードできるようになっています。
(参考:CBTセンター「認知行動療法の道具箱」

サイトの利用申請に登録後、届くメール内のURLよりダウンロードページにアクセスし、「うつ病、うつ状態、マイナス思考に使う」をクリックすると4つのツールがダウンロードできます。

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