「理想が高く 仕事に満足せず退職」が多かった 45歳男性・躁うつ病(正社員)

公開日: 2022.8.31
最終更新日: 2024.3.29

双極性障害と付き合いながら働く方々の仕事や困りごと、働く工夫をコンパクトにまとめてお届けする「はたらく工夫 #ショート 」。

今回は障がい者相談支援センターで相談支援専門員として勤務されている、マキオさんです。

プロフィール マキオ

・45歳男性

・障がい者相談支援センターで相談支援専門員(正社員)として勤務5年

・介護福祉士、介護支援専門員、精神保健福祉士、相談支援専門員

お仕事の内容を教えてください

マキオさん
マキオさん

障がい者相談支援センターで相談支援専門員をやっています。正社員で、1日7.5時間で週5日の勤務を5年間続けています。

採用面接で躁うつ病のことを伝えたのですが、精神障害者の家族会からスタートした事業所だったこともあり、理解がありました。また、介護施設で8年間就労してきたことが評価されました。

入職する際には精神障害者雇用トータルサポーター※1に登録し、トライアル雇用※2も使いました。これらの情報は精神保健福祉士の資格勉強で知ったこと。色んな人に相談できる体制でなければ続けるのは難しかったと思いますね。

※1 精神障害者雇用トータルサポーター:精神保健福祉士や臨床心理士などの資格を持つハローワークの専門スタッフ。精神障害がある人の就労支援や心の相談、精神障害のある社員の雇用管理に関する相談を行っている
※2 トライアル雇用:職業経験の不足などから就職が困難な方や、これまで経験がない職業に就くことを希望している方が、試行雇用を経て無期雇用に移行することを支援する制度(似たような制度に、障害者雇用を想定した「障害者トライアル雇用」がある)

今の働き方に至った経緯は?

マキオさん
マキオさん

大学の時に就職も決まっていましたが、躁状態になって入院。働けるような状態ではないと親が判断して、内定を辞退しました。

卒業後は色々なバイトを経験しました。遊園地の入り口で記念写真の撮影担当にはじまり、塾講師をした会社はブラックな感じだったり。会計事務所やごみ収集の会社でも働きましたが、どれも続きませんでした。

入院を経て、派遣でカメラ製造の下請け企業に勤めた時のこと。「これからは介護がいい」という話を耳にし、働きながら通信で介護の資格を取りました。

ボランティアをした介護施設からお誘いがあり入職、結果的に8年勤めました。試用期間にミスばかりしていたためクビを宣告され、退職するまではと無我夢中で仕事をしたら評価され、そこでやっと”仕事をするとはどういう事か”が分かりました

私は自己評価は低いのですが理想が高く、「こんな事をする人間ではない」という考えが邪魔をして、仕事に満足できず退職することが多かったですね。

働き続けることで介護の面白さがわかり、一つひとつの仕事の大切さを理解。目の前の事に打ち込めるようになりました。

退職したのは結婚がきっかけでした。相手の持病(統合失調症)が悪化し、それが私にも影響して躁状態になり、職場で信頼を失ったまま入院、退職となりました。その後、現職に繋がります。

今の仕事の困りごとは?

マキオさん
マキオさん

鬱の時に、入ってくる仕事はこなせるが、自分からアポを取って予定を立てることができなくなりますね。ハードルが高く感じ、相手の気持ちを考え過ぎて動けなくなってしまう

あとは、職場での罪悪感です。支援の仕事をしていますが、担当する利用者さんが70人を超えていて、その中で頻繁に関われている人と、1回きりでほったらかしの人との差が大きい。交流できていない罪悪感から余計に連絡できなくなる悪循環に陥っていますね

朝がキツいのも困りごとです。死にたいほどの状態になるのですが、気分の上がり下がりが激し過ぎるので、周りから見れば平常に見えるようです。でも本当に悪いときは、この世の終わりみたいな顔をしてるって言われます(笑)

工夫していることは?

マキオさん
マキオさん

・体調の悪いときは早めに休暇を申し出る
・鬱の時ほど勇気が要るが、同僚に今の状態や状況を説明する
・鬱の時は手ごわいが、主治医と話して処方変更(ラミクタール追加)で今のところ順調
・軽躁、躁状態の時は、なるべく仕事を抑えてやり過ごす
・何か判断するときは必ず誰かに相談する
・躁も鬱もならないように気を張りすぎるのではなく、「なる前提」で早く抜け出すために出来ることをしている

マキオさん
マキオさん

あとは、心理学の勉強をグループワークで5年間続けていて、画像にあるようなイメージを絵に書いたりしています。

鬱の時は不安や恐れがありますが、今の自分を受け入れ、認めて、大切にするとラクになります。躁の時は他人からの期待を手放すと、躁から抜けられると感じます。

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