余力ができたことで立ち直りがスムーズに 38歳女性・双極性障害(障害者雇用・正社員)

余力ができたことで立ち直りがスムーズに 38歳女性・双極性障害(障害者雇用・正社員)

公開日:2023.1.13
最終更新日: 2024.3.29

双極性障害と付き合いながら働く方々の仕事や困りごと、働く工夫をコンパクトにまとめてお届けする「はたらく工夫 #ショート 」。

今回はアパレル関連の会社で物流倉庫業務をされている、きむぺらさんです。

プロフィール きむぺら

・38歳女性

・障害者雇用枠でアパレル関連の会社に入社して勤務10年目(正社員)

・現在の業務は現場の取りまとめ、パソコン操作や電話での折衝

お仕事の内容を教えてください

きむぺらさん
きむぺらさん

アパレル関連の会社で物流倉庫に勤務しています。

具体的には、現場の商品のピッキングや梱包作業をする皆さんへの指示出しやスケジューリング、パソコンを使ったシステム操作と業務管理、メールや電話を使った社内外の対応が主な業務内容です。

今は新しいシステム導入のために、仕様確認やデータ作成、運用支援、関係企業との折衝なども担当していますね。障害者雇用枠で正社員として働いています。

今の働き方に至った経緯は?

きむぺらさん
きむぺらさん

高校卒業後、厚労省が管轄している大学校の2年コースに進学しました。更に2年勉強をするため同校の応用コースを受験しようとしたところ、家庭の事情で就職か・実家に戻るかの決断を迫られ、うつっぽくなり受診。でも、すぐ病院には行かなくなりました。

卒業後はシステム総合商社に7年ほど在籍し、サービスエンジニアをしていました。ダムや道路といった公共システムの検査や保守運用、サポートデスクが主な業務です。

ある日、部署を転々としている年齢が一回り上の人を1年間担当してくれと言われたんですが、私には苦手なタイプの方で…。ミスのフォローやクレーム対応が続く中、強い抑うつが出て病院へ行きました。

処方された抗うつ剤を飲み始めてしばらくすると眠らなくなり、ハイテンションになって。その様子と過去のエピソードから主治医に「うつではなく、躁うつですね」と言われました。1年ほど休職したものの復職できず、休職期間満了で退職しました。

その後はアルバイトや派遣を転々としていました。病状が不安定な状態でのクローズ就労だったので、体調を大幅に崩すことも多く、3ヶ月ごとに入っては辞める…の繰り返し。いざ障害を説明してみると、心無い言葉や過度な配慮を受け、職場に居辛くなったり、自ら障害を理由に退職していました。結果、自己嫌悪に陥り、非常に辛い思いを繰り返していると気が付いたんです。

そこで、障害者手帳を取得して障害者枠で働くことを選択肢にいれてみることに

今の職場に出会ったのは、障害者枠でも不採用が続く中参加した合同面接会でした。自宅から近い会社を偶然見つけて、足を運んだのがきっかけです。選考と実務研修の後、内定をいただきました。

今の仕事の困りごとは?

きむぺらさん
きむぺらさん

①適正な目標、評価基準がない
社内には障害者雇用で働いている人が複数人いますが、業務内容や指揮命令系統が異なるにも関わらず同一部署扱いです。組織図上の部署では業務内容が把握できず、目標の提示や評価基準が作れないと言われています。

周囲から評価のお声をいただくことも多いのですが、待遇には結びつかないため、モチベーションの維持に悩んでいる状況です。

②無理解との根比べ
障害者という括られ方への疑問や待遇面では、一般雇用との壁を強く感じています。
「私に足りない部分があるのか?」「障害のせいか?」といった悩みは、乗り越え方に苦労しています。

③相談先がない
先の①、②の相談をしようにも、直属の上司や人事には理解が得られない状態が続いてます。家族、友人、外部機関などに相談はしていますが、退職や転職には踏み切れずにいます。

金銭面での苦労は?

きむぺらさん
きむぺらさん

休職期間中や離職を繰り返した時に、生活費として借り入れた借金を返済するのが厳しいです。

スマホのアプリで、お金の動きを可視化しています。
現在は夫の持ち家に住んでおり、住宅ローンを含めた生活費は折半なので、一人暮らしに比べ、生活は安上がりです。ただ自分の収入がなかなか上がらないので、繰上返済は難しく、完済にも時間がかかります。自由に使えるお金が少ないのが辛いですね。

働く上での工夫は?

きむぺらさん
きむぺらさん

①睡眠時間と状態の把握
睡眠導入剤を服用し、スマートウォッチを活用して状態を把握しています。

②心理機能を含めた自己理解
会社の福利厚生のカウンセリングでヒントをもらったので、自分の性格、強み・弱み、ストレスの原因・対処などを、出来るだけ広い視野で捉えるようにしています。

③障害を言い訳にせず、周囲への理解は無理強いしない
安定した勤務と必要な業務がこなせていれば、罪悪感がかなり減って自己肯定感が高まりますが、そのためには投薬や通院で休む必要があります。

自分も周りも必要な時に休める環境を作ることで、無理に障害への理解を求めずに済むので、随分気持ちが楽になりました。

④周囲の声かけを後から思い返し、相手の気持ちを想像してみる
家族、職場の関係者からかけられる「どうしたの?」「元気だね」の言葉にも左右されていたので、フラットな状態の時に無理のない範囲で言動の背景を想像するようにしています。

⑤「ピンチはチャンス!」「今その瞬間の80%がベスト。残りの20%は『もしもの』余力」
頑張れない状況や失敗で失望してしまうため、「その時の80%の力を発揮することが今出来る100%、残り20%を自分や誰かの為に使えればベストの120%!」業務上のピンチも「ピンチはチャンス!」この2点がここ数年の信条です。

悩み事もまだまだありますが、その質も変わり、自分らしさだと思えるようになりました。今では、気分が落ち込んでも立ち直りやすくなり、ほぼフラットに過ごせています。

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