
双極性障害と付き合いながらYouTube発信を続ける工夫
今回は双極性障害とYouTubeをテーマに、双極性障害Ⅱ型の当事者で介護施設で働きながら
双極性障害に関するチャンネルを運営しているナカモトさんをお招きして、双極性障害と付き合いながらのYouTube発信について伺います。
※インタビューは2022年7月に実施しました。

プロフィール ナカモト
双極性障害Ⅱ型の当事者。
介護施設で働きながら、双極性障害に関するチャンネル「じぶんとうまく付き合う こころの診断」 を運営している。

プロフィール 松浦
双極はたらくラボ編集長/精神保健福祉士/公認心理師
1982年島根県生まれ。21歳の時に双極性障害を発症。20代で転職3回休職4回を経て、リヴァの社会復帰サービスを利用。のち、2012年に同社入社(現職での休職0回)。 一児の父。
動画「双極性障害と付き合いつつ仕事しながらYouTubeはできる?」
YouTubeを始めたきっかけ

簡単に自己紹介をお願いします。
はじめまして、ナカモトです。私は約8年前に双極性障害Ⅱ型の診断を受け、その後いくつか仕事を転々としていました。
現在は高齢者の方が通うリハビリ施設で介護施設の相談員をしていて、正社員として週5日働いています。


ナカモトさんが双極性障害をテーマにしてYouTubeを始められたきっかけは何ですか。
5年ぐらい前だと思いますが、松浦さんのnoteの内容にすごく感化されました。
冒頭で社長さんに「ご自身の失敗体験を伝えることで価値になるよ」というふうに言われたと書かれていて、私も「こういう人になりたい」と思ったんです。


当時私はnoteとTwitterで発信していたと思うんですけど、ナカモトさんはなぜYouTubeを選ばれたんですか。
2020年の夏ごろに始めたのですが、単純にYouTubeが流行っていたからです。その当時、自分はすごくパチンコ依存症(未診断)だったんですよ。
パチンコをしている自分は好きじゃなかったんですけど、ワクワクできるものがパチンコしかなくて。そんな時に友達から「YouTubeでもやったら」と軽く言われたんです。
それで次の日に機材を全部揃えました。当時は自分のことがすごく嫌いだったんですが、唯一誇れることが思い立ったらすぐ行動することだったんです。


全部というのは何を買ったんですか。
携帯で撮っていたので、三脚やマイクなど必要最小限のものを買いました。1万円もかからなかったと思います。
amazonプライムで次の日に届くようにして、すぐに収録して友達に「YouTube始めました」と連絡をしました。



翌日にアップされたんですね。友達はどんな反応でしたか。
「継続できたらいいね」って。行動はするけれど、継続できないのが私の直さなければいけない部分だったので、それを知っている友達はわりと冷静でした。

YouTubeを続ける工夫

2020年の夏から始められて、今まで継続されていますよね。
最初の3カ月ぐらいは続けていたんですが、その後「見られない時期」があって少し中だるみがありました。


中だるみしていた時期をどうやって超えたんですか。
「私自身がやりたいことをやっていないから、継続できなかったんだな」と気づきました。
最初は「皆さんのためになりたい」「皆さんの支援したい」とか考えていたんですが、恐らく私はそんな理由で始めてなくて、自分自身を発信したかったんです。
自分のやりたいことに気づいてからは、自己満足の動画を作ろうと決め、YouTubeを趣味に切り替えたんです。そうすることで、少しずつ継続してできるようになっていきました。


切り替えたというのは、動画の内容の話ですか。
そうですね。伝えようとするのではなくて、私が昔の自分に伝えたいことを基準に動画を作ることにしました。
私は、双極性障害を落ち込んでいる人だけが見る動画ではなくて「あ!こういう人もいるんだ」っていう温度感で見れる動画が欲しかったんですよ。
例えばモーニングルーティン動画が一時期流行りましたが、恐らく「他の人って実際のところどうなの?」というのを知りたい人が多かったからだと思うんです。
それに近い感覚で私が知りたかったのは「他の人の躁うつってどうなの?」というところだったんです。動画を出すことによって、例えば100人いたら2人ぐらいでも何か気づきがある動画を出したいなって。


ナカモトさんは仕事をしながらYouTubeを発信されていますが、発信を継続するためにどんな工夫をされていますか。
最近している工夫は、原稿を書かないことです。
定期的に実施している、ライブ配信で話した内容の切り取り動画を上げることをメインにしています。今の生活リズムの中で新しいことを考えて動画を生み出すことをすると、やり過ぎてストレスになってしまうんですよね。
ストレスを減らすために今は原稿を書かない時期にして、ゆくゆくは切り取った内容をちゃんとリメイクして動画にしようと割り切ってやっています。


双極性障害との向き合い方

YouTubeを運営する中で、双極性障害への影響というのはいかがですか?
双極性障害のことが大好きで発信しているわけではないですが、動画を上げている以上定期的に双極性障害のことを考えるんです。症状がでたら、すぐに文字に起こしたりする時期もあって病みましたね。
自分を表現するときにYouTubeを始める前はちゃんと「ナカモト」というのがあったけれど、始めてから「私は双極性障害のナカモトです」になって。そこから元の「ナカモト」に戻るのが大変でした。


一時期YouTubeに飲まれてしまった感じですか?そこからどう抜けたんでしょうか。
自分では抜けられなかったです。友達からの助言で「双極性障害のYouTubeを始めてから、双極性障害のせいにすることが多くなってないか」と言われて。


友達に指摘された時に「そうだな」と思いましたか。
思わなかったです。その時は単純に傷つきました。
でも次の日に改めて考えると、友達の言う通りかもしれないなと思って。図星だったから傷ついたんです。


傷ついたけれど、時間を置いたら冷静になれたんですかね。
落とし込むことができなかったので、自分の気持ちを動画にしました。
友達から「双極性障害のせいにしてないか」と言われたことに対して、私がどう思ってどう着地して理解したかを動画にすることで、自分のものにできるかなと思ったので。


実際にやってみてどうでしたか。
自分にとって、すごく大きな出来事でした。私の場合、人から言われて考え方を修正するというのは難しいことで、原稿を作って動画にするくらいのことをしないと変わらないなと思いました。


動画にすることがナカモトさんなりの消化の仕方になってるんですね。人生をYouTubeに発信して、オープンな生き方になっているというか。
視聴者としては簡単に見れるものではないから興味深いと思います。

今後の展望

最後に今後の展望や、何かやっていきたいことがあれば教えてください。
今私が力を入れているのはライブ配信です。自助会みたいなイメージでやっています。
私自身も経験したことですが、当事者以外の方には双極性障害の話って共感されないんですよね。ライブ配信の中では例えば「躁状態の時には人と話さない方がよかった」など、当事者以外の人とはあまり話せなかったことを話した方が、みんなから共感されたり「ためになりました」と言われたりします。
そこに私は価値があると思い続けたくて。なので、参加者が少なかろうが、自分が乗り気じゃなかろうが続けたいと思っています。

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ライター
1990年生まれ。24歳のときにうつ病を発症し、病院のリワークを経て復職。その後3度の転職を経て執筆活動を開始。