双極性障害Ⅱ型の当事者で就労継続支援A型事業所※(以下、A型事業所)で働いている松岡さんへのインタビュー。
今回は、松岡さんがA型事業所で「どんな仕事をしているのか」や「今後の働き方」について話していただきました。
※一般的な企業で働くことが難しい障害のある方が、雇用契約を結んだ上で働くことができる障害福祉サービス
〈聞き手=松浦秀俊(双極はたらくラボ編集長)〉
プロフィール 松岡
・双極性障害Ⅱ型
・北海道に移住し、A型事業所に勤務
A型事業所では、具体的にどんなことをされていますか。
原反(げんたん)という筒のビニールからゴミ袋をつくり、袋詰めと検品をして、段ボールに入れて出荷します。
自分は、機械を操作しながら出てきた商品を検品するところをやっています。
松岡さんが担当している業務は、難しいほうに当たるんですか。
おそらく、難しいほうだと思います。
でも、職員の方がサポートしてくれるので、分からなかったら「ここはどうするんですか」と聞ける環境です。
業務自体は、ご自身に合っていると思いますか。
自分の性格上、仕事を全力でやってしまうんです。
仕事が合っている・合っていないとかではなくて、絶対に合わせちゃうので、仕事にのめり込まないようにセーブするようにしています。
事業所では、1日に何時間くらい働かれていますか。
1年前ぐらいからA型事業所に通ってるんですが、最初の頃は午前中に起きれなかったんです。
なので、午後勤務を希望して「13時から15時までの2時間働く」ところからスタートしました。
今は13時から17時まで働いているので、4時間ですね。
週5日勤務ですか。
他の方は週5日ですが、自分は週4日ぐらいのことが多いですね。
半日勤務で週4日からという働き方ですね。
そうすると雇用契約を結んでいらっしゃるとはいえ、収入的に生活が厳しい部分もあるのではと想像していますが、いかがでしょうか。
障害年金をもらっているので、そちらを生活費にして、事業所でもらってるお金はほとんど食費に当てて、何とかやっている感じですね。
あと妻の収入もあるので、二人で足して生活してます。
事業所で働く中で、双極性障害の症状による仕事への支障はありますか。
北海道に来た時点で、一番のストレスだった「親」から離れたということがあったので、だいぶ安定してきていたんです。
でも最初の1年は朝に起きれなかったので、昼からの仕事にしてもらうなどの配慮はしてもらっていました。
だんだん午前中に起きられるようになってくるにつれ、ちょっとずつ自信と体力がついていって、安定して働けるようになったんです。
ただ自分の場合は、薬を飲み忘れると次の日動けないぐらい脳が重たくなって寝れなくなるんですよね。
横になっているけど、脳がずっと動いているという状態。
そうなった場合は、休みをもらうようにしています。
薬の飲み忘れがあると影響が大きくなるんですね。
大きいですね。
1年働いた中で、躁とうつの症状が出ることはありましたか。
ありました。
躁の症状かなと思う部分では、仕事が楽しくなり過ぎること。職場で「そこまでやらなくてもいいのに」と思われるぐらい動いちゃいました。
その時は家に帰っても、料理・洗濯など家事を何から何までやって、朝も5・6時に目が覚めるので散歩に行って…という状態でした。
しかもそれが楽しいので、止まらなかったんですね。
楽しくなりすぎる時期は、どのくらい続きましたか。
徐々にですが、1・2か月ぐらいは元気な時期が続きました。
結構続いたんですね。
逆にうつの症状が出たなと思った時はありましたか。
大きなうつにはなってないです。多分大きなうつになる前に気づけているんだと思います。
頓服薬をもらっていて、それをちょっと多めに飲むなど自分で工夫しました。
安定して働くために工夫していることはありますか。
薬を同じ時間に必ず飲む。自分の場合は、20時から21時の間に薬を飲むと決めています。
その間に薬を飲んで23時までに寝ることを徹底すれば安定するということが分かったので、徹底するようにしています。
服薬と睡眠を徹底されているんですね。
例えば、軽躁状態が続いた時はいかがでしょうか。先ほど1・2か月続いたとお話しされていましたが、服薬と睡眠以外に工夫したことはありましたか。
その時はパッチリとすぐに目が覚めるので、散歩していました。
軽躁状態が少し治まるのを待つっていう感じですかね。
そうですね。
症状として寝ても脳が動いている状態の時だけ、頓服薬を飲むようにしました。
A型事業所で働いて1年ほどだと思います。
今後もA型事業所でお仕事を続けていくのか、別の場所で働くイメージを持っていらっしゃるのか、いかがですか。
今の能力で言えば、多分一般企業でも働けると思うんです。収入の面でも一般企業のほうがいいですし。
でも、ここまで安定して働けたことがなかなかないので、一般企業で働けるか怖いと思う部分もあり。
事業所ではしんどい時に「休んでもいいよ」と声掛けしてもらっているので、一般企業で働いていた時と比べてプレッシャーが違うんですよね。
仕事内容・お金と、安定して働くことのどっちを取るか、本当に悩んでいます。
回答は出てないけど、少なくともこれだけ安定して働けているのは本当に久しぶりな状態なんですね。
あと、一般企業で障害者雇用で働くのはどういうものなのかなって興味はあります。
一般企業でも働いたことありますし、事業所でも働いたので、もし次に別の環境で働くなら「障害者として一般企業で働く」ということも体験したいな思っています。
確かに障害者雇用であれば、一般企業でもある程度配慮をしてもらいながら働けますね。
読者には、双極性障害当事者でA型事業所で働くことに興味を持っている方もいらっしゃると思います。
そういう方に伝えたいことはありますか。
A型事業所で働きたいと思ったら、まず相談支援員さんなどに相談してみて、色々なところを見てみてください。
自分は2つの事業所しか行ったことがないですが、周りの話を聞くと色々な事業所があるんだなと思いますし、A型もB型もあるので。
一度事業所に行ってダメだったことがあっても、それを失敗だとは思わず、合う場所を探して行くのがいいのかと思いますね。
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双極症での働き方に悩む方へのヒントが詰まった一冊です。ぜひお手にとってご覧ください。
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双極はたらくラボWebメディア責任者
1999年東京都生まれ。2022年に新卒社員としてリヴァへ入社。