双極性障害(就労中)とお金・収入に関するアンケート結果【回答365人】

双極性障害(就労中)とお金・収入に関するアンケート結果【回答365人】

公開日:2022.8.24
最終更新日: 2024.3.29

2022年5月に「双極性障害で働く方を対象にした金銭面に関するアンケート」を実施しました。

双極はたらくラボのメインテーマが「双極性障害 × 働く」であり、「働く」と「お金」は関連性が高いということ、また実際に、読者の方々から「お金」に関する質問を多くいただいていましたので、この度調査を行う運びになりました。

2022年5月9日〜5月23日の14日間、全国の双極性障害(疑いを含む)の方で調査時点で働いている方(休職中の方も含む)を対象にインターネット調査を行い、365人の方に回答いただきました。

ご協力いただいた皆さまには厚く御礼申し上げます。

その結果を報告します。なお、文末にはアンケート全回答のデータもご案内しています。実際の回答の詳細をご覧になりたい方はそちらもチェックしてください。

回答者の基本属性

全回答者(365人)

(図1 診断名)

双極性障害Ⅰ型:37人 /双極性障害Ⅱ型:190人 /双極性障害としか言われていない: 109人 /躁うつ病:9人 /双極性障害の疑いあり(未診断):20人

(図2 年齢)

20代:58人  /30代:157人  /40代:108人  /50代:41人  /60歳以上:1人 

(図3 性別)

男性:89人 /女性:269人 /回答しない:5人 /その他(Xジェンダー無性、トランス)2人

(図4 現在、同居している方)

同居家族がいない(一人暮らし):94人 /ご自身の親:69人 /配偶者:64人 /「配偶者」と「子供」:60人 /友人・恋人:23人 /「ご自身の親」と「その他の親族・家族」:18人 /子供:11人 /「子供」と「ご自身の親」:5人 /その他の親族・家族:2人 /「子供」と「ご自身の親」と「その他の親族・家族」:2人 /シェアハウス:2人 /「配偶者」と「配偶者の親」:2人 /その他、同居している方:13人

(図5 就業形態)

正規の社員・職員:169人 /契約社員/嘱託社員:40人 /パート/アルバイト:104人 /派遣社員:10人 /事業を経営している:11人 /家業を手伝っている:6人 /家で仕事(内職、フリーランスなど):25人

(図6 職種)

就労中:258名(52.7%)/休職中(就労移行支援利用中):7名(1.4%)/休職中(就労移行支援は利用していない):39名事務・管理:86人 /医療・福祉・介護:64人 /教育・保育・公務員・農林水産・その他:58人 /サービス・販売・外食:40人 /ITエンジニア(システム開発・SE・インフラ):23人 /企画・マーケティング・経営・管理職:19人 /クリエイティブ(メディア・アパレル・デザイン):19人 /Web・インターネット・ゲーム:11人 /営業:10人 /専門職(コンサルタント・士業・金融・不動産):10人 /素材・化学・食品・医薬品技術職:8人 /エンジニア(機械・電気・電子・半導体・制御):7人 /技能工・設備・交通・運輸:6人 /建築・土木技術職:4人

(図7 役職)

就労中:258名(52.7%)/休職中(就労移行支援利用中):7名(1.4%)/休職中(就労移行支援は利用していない):39名事一般社員:222人 /主任・係長クラス:24人 /課長クラス:11人 /部長クラス:1人 /経営者・役員:5人 /個人事業主:31人 /その他(該当なし):71人

(図8 求人枠と就業先への病気の開示)

一般オープン:134人 /一般クローズ:139人 /障害者雇用枠:47人 /その他:45人

(図9 現在の年収)

100万円以下:69人 /101~200万円:72人 /201~300万円:62人 /301~400万円:54人 /401~500万円:47人 /501~600万円:15人 /601~700万円:15人 /701~800万円:11人 /801~900万円:1人 /901~1000万円:3人 /1001万円以上:9人 /わからない:3人 /回答しない:4人

属性ピックアップ

事務・管理や医療・福祉・介護といった職種に一定の偏りはありますが、14職種満遍なく該当される方が回答いただいていて、双極性障害の診断を受けていてもあらゆる職種で働ける可能性があることも表していると考えます。

回答いただいた方のうち、一般職で働いている方が4分の3を占めています。この傾向は職種の分布や収入など、他の属性にも影響を与える可能性が高いものと考えられます。

双極性障害の当事者で収入について100万円単位で調査をしたものはとても珍しく、貴重なデータなのではないでしょうか。

年収が高い方は「一般職で業界的に年収が高い」「役職についている」「起業している」などの傾向がみられました。

収入の満足度に関する回答結果

(図10 収入の満足度について)

収入に満足しているかについて尋ねたところ「かなり満足」が11.2%、「やや満足」が39.2%、「やや不満」が32.1%、「かなり不満」が17.5%となり、満足と不満がほぼ半数に分かれる結果でした。

回答ピックアップ

・かなり満足(30代女性・双極性障害)

障害をオープンにして働きたいというのが一番の夢、目標でしたが、全く見つからず…かと言ってクローズで働くのは無理だなと思っていました。なので、現在の職場はオープンでバイトとして雇用していただいているので給料をいただけるだけでもありがたいからです。

・かなり満足(30代女性・双極性障害Ⅱ型)

週4日契約の正社員でバランスが取れているため。

・やや満足(40代女性・双極性障害)

転職して以前より収入は減ったが、働き方は楽になったので。

・やや満足(40代女性・双極性障害)

一般枠で働いていた時と同等の給料がもらえているから。

・やや満足(50代女性・双極性障害Ⅱ型)

一般的に考えれば高い方だと思うが、社内では査定で下がり一番低いレベルなので満足ではない。

・やや満足(40代男性・双極性障害Ⅱ型)

今の会社に転職してから双極性障害の診断を受けたのでクローズド就労でこの金額をキープできていることには満足しています。

・やや不満(50代女性・双極性障害Ⅱ型)

体調不良で退職してからの中途採用の給与なので。継続して働ければ収入はもっと高かった。

・かなり不満(30代・双極性障害Ⅱ型)

本当はもっと働きたいが気分のムラが大きすぎて今の状態が限界。

・かなり不満(50代女性・双極性障害Ⅱ型)

年金と合わせてギリギリ生活はできるが将来の貯蓄ができない。

障害年金の受給について

(図11 障害年金の受給の有無)

今回の回答者のうち、障害年金を受給している割合は「はい」が25.5%(93人)、「いいえ」が74.5%(272人)で、4分の1の方が受給をされているという結果でした。

症状別のお金に関する困りごと&対処・工夫

「症状別のお金に関する困りごとと対処・工夫」は自由記述で回答いただき、多種多様なお答えをいただきました。全てをご紹介することが難しいため、ここではまとめとピックアップの形で紹介します。

全回答は文末にご案内しています。基本属性も併せて見ていただくことで回答の見え方も変わってくるかと思いますので、興味のある方は目を通してみてください

「躁・軽躁状態」お金困りごと&対処・工夫 まとめとピックアップ

(図12 「躁・軽躁状態」でのお金に関する困りごとへの対処・工夫まとめ)

・30代女性・双極性障害
困りごと:急に旅行の計画を立てて、すぐに実行してしまった事がある。チケットもその場で予約。

対処・工夫:本当に必要な物なのか考える。一つ買ったら一つ捨てるようにしている。

・30代女性・双極性障害
困りごと:買い物を次から次へとしてしまうことに困っていた時期がある。

対処・工夫:買い物をするなら百均でするようにして、そうするとダメージが少ない。

・30代男性・双極性障害
困りごと:元々が浪費家なのに躁状態になるとギャンブル依存症等になった過去があり、自己破産経験がある。

対処・工夫:家計簿をつけて、給料日に細かく封筒に分ける。

・40代女性・双極性障害Ⅰ型
困りごと:何でもキラキラ素敵に見えて、自分に必要なものだとお買い物。特にネットショッピングはポチっとするだけだから、後から後から色々届いて驚く。
お金は数字でしかない、という感覚に陥る。数字はあってもなくても生きていけるものだから、無頓着になり収支計算なんてとても無理。

対処・工夫:とりあえず「お気に入り」にして「カート」には入れない。最悪「後で買う」にする。即決できるものは頑張って見なかったことにする。とにかく一人で買わず、家族や友人に相談。
1000円以下なら自己判断と、マイルール設定。

・30代女性・双極性障害Ⅱ型
困りごと:50万円程度なら即決。

対処・工夫:収入があるのであまり問題にならない。

「うつ状態」お金困りごと&対処・工夫 まとめとピックアップ

(図13 「うつ状態」でのお金に関する困りごとへの対処・工夫まとめ)

・30代女性・双極性障害
困りごと:病気休暇の範囲で復職できるようコントロールする必要がある。休暇中は手当も下がるので金銭的不安が高まる。

対処・工夫:とにかくどんな形でも今の仕事を続けていけば生活はできるし家のローンも払えるという基本的な考えに立ちかえる。

・40代男性・躁うつ病
困りごと:空欄

対処・工夫:傷病手当金、失業手当、障害基礎年金、職業訓練給付金などを活用した。

・30代女性・双極性障害
困りごと:就業中なら働けなくて、欠勤でお給料がどんどん減る。今は育休中なので、うつで動けなくなったら、ベビーシッターなどを依頼しなければいけないので出費が増える。

対処・工夫:軽躁のあとに大きなうつが来るので、まずは軽躁を予防する。カフェインを摂取すると気分の波が大きくなり、情緒も激しく不安定になり働けなくなるので避ける。

・30代女性・双極性障害の疑いあり
困りごと:時給制で働いているので仕事を休んで収入が減ってしまう。

対処・工夫:月に何日働いたらいくら稼げるのかを事前に計算してある。その結果、自分の中での許容範囲を作っているので、その許容範囲内であれぱ気兼ねなく欠勤できる。

・30代女性・双極性障害Ⅱ型
困りごと:無断欠勤しクビになり、を20社以上繰り返した経験があり、職歴がボロボロ。派遣社員でしか仕事につけない。

対処・工夫:仕事内容が自分にあっており、家から近い職場を選ぶことで、無理なく欠勤せず続けられる環境を整えたら、お金の面も含めて生活が多少うまく回るようになってきました。

・30代男性・双極性障害Ⅱ型
困りごと:欠勤で有給がなくなる。

対処・工夫:訪問看護の利用で欠勤がなくなった。

「症状面以外」お金困りごと まとめとピックアップ

(図14 「症状面以外」でのお金に関する困りごとまとめ)

・40代女性・双極性障害
困りごと:生命保険に入れない。
障害年金をもらえるか貰えないか微妙なレベルのラインなので、診断書更新のごとにお金に関してピリピリする。

・30代女性・双極性障害Ⅱ型
困りごと:好きな仕事、やりたい仕事に転職したいが病状がどうなるかわからず生活できなくなるのが怖いのでチャレンジできない。

・30代女性・双極性障害Ⅱ型
困りごと:勤怠も安定しないし、非正規雇用だったり仕事の選べる幅も狭いので収入が低くなりがち。

・30代女性・双極性障害Ⅱ型
困りごと:1人で生活できるだけの収入を継続的に得るのが困難。そのわりに就労自体はできているから障害認定がおりず、手帳ももらえていません。
何の支援もなくかなりつらかったので、結婚するまではいつ仕事をクビになってお金がなくなるか常に不安でした。

・30代女性・双極性障害Ⅱ型
困りごと:今の会社は給与とやる気がだいたい比例している。やる気と躁も比例するので、給与をあげようとすると躁転するだろうと思う。

・30代女性・双極性障害
困りごと:今の収入と病状では将来が不安だが、病状が悪化するのではないかと思うとキャリアアップに積極的になれない。そのことが心理的負荷になってうつ状態の時の、貧困妄想が加速します。

アンケート回答の解説動画

【前編】双極性障害で働く365人に聞いた「お金と仕事」

【後編】双極性障害で働く365人の「躁うつ症状とお金への影響」

アンケート全回答ダウンロード

アンケート全回答_縦_全6頁(スマートフォン閲覧向き)

アンケート全回答_横_全14頁(パソコン閲覧向き)

謝辞

本調査の実施に協力いただいた皆様に心から感謝いたします。また、調査の設計段階からご協力いただいた皆様にも重ねてお礼申し上げます。

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